テニス

テニス

ファミコン初期の隠れた名作

単純な棒テニスから、テニスゲームへ

ファミリーコンピューター黎明期に登場し、その後のテニスゲームに多大な影響を与えたビートルズ的スポーツゲームの金字塔。
(いや、BGMのシンプルさで言えばビートルズよりラモーンズの方が適格か)

テニスに、更にはスポーツそのものにさほど興味が無かった筆者がテニスのルールを覚える事が出来たのもこのゲームの功績だ。
後に高校で軟式テニス部へ入部する事になるのだが、潜在的にこのゲームでの異次元ラリー体験がキッカケとなってテニス部の扉を叩いたのではないかと今になって回顧する。
なお、硬式でなく軟式をチョイスした理由は「球が当たっても痛く無さそう」である点と「練習が硬式よりラクそう」という黄金のツートップであった。スポーツ舐めんな。

「隠れた」名作になってしまう理由

一般的に本作の知名度は「審判がマリオ」である点、「スーパーマリオブラザーズで256面へ行く為に使う生贄ソフト」の2点のみであるが、
その2点があまりにも有名すぎた為、秀逸なゲーム性には中々注目が行き辛いという憂き目に遭ってしまった不幸なレトロゲームである。
ファミコン初期にも関わらず、ゲーム性、操作性等のテニスゲームの基本は完成しており、通常のストローク、ボレー、スマッシュ等の使い分けも現代のテニスゲームに脈々と受け継がれている。
「出オチだが実は良ゲー」という、「奇行ばかりが目立つが実は良楽曲というロックバンド」にも似た、もしかしたらゲーム界初のジャンルであった可能性もある。

また、2人同時プレイもこのゲームの大きな魅力。
スポーツゲームの2人同時プレイといえば対戦を連想する。そりゃそうだ。スポーツゲームであるからには対人戦を連想するのが当たり前、至極真っ当な思考回路である。
余談ではあるが、高校テニスの大会においては「試合に負けると次試合の審判をやらされるという謎ルール」が根付いているのだが、
一回戦で敗退しそのまま帰宅するという愚行を取ってしまった事を思い出した。いや、帰らず審判やれよ。

人知を超えた先に見えるもの

話が逸れたので本筋に戻そう。
本作には対戦プレイは搭載されておらず、かと言って審判プレイも搭載されていない。本作は協力プレイのみとなっており、ダブルスで敵CPUとラリーに興じる事が出来る。
敵CPUレベルは1~5の5段階となっているが、レベル5は異次元級の速度で球が飛んでくるので初見は注意が必要だ。
「こんなもん打ち返せる訳ねーだろ!」と言ってコントローラーを投げ捨て転げ回った少年も少なくないと思うし、無論筆者も転げ回った経験を持っている。

だがこの超速異次元ラリーも打ち合いが続くようになるとテニスの向こう側に到達したような感覚になり、何故か大きなカタルシスを感じてしまう。
現代人の心の澱みを浄化するのは「ヒーリング音楽」でも「アロマセラピー」でもなく、「テニスでCPUレベル5と異次元ラリーの末打ち勝つ事」が何よりも効果的だろう。

しかし高みへ到達するまでに心の澱みが増す可能性を度外視でき、かつ忍耐強い糞ゲーマーレトロゲーマーでなくてはいけない為、
自分が選ばれた屈強な糞ゲーマーアスリートであるという自負を持ってプレイする事をお勧めする。

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